フッ素は虫歯予防に効果的?安全性や歯科医院,自宅で使用する違いは?
フッ素が虫歯予防に効果的ってよく聞くけど本当なの?安全性とかは大丈夫?
本当だよ! フッ素(フッ化物)は使用量を守って使えば安全で、さまざまな虫歯予防の効果があるから積極的に利用するのがおすすめだよ
フッ素にはどんな虫歯予防の効果があるのかを知りたいな それと、フッ素はどうやって使っていくんだろう?
今回は、フッ素について色々と解説していくね
フッ素が歯に良いと言うのはよく耳にしますが、具体的にどのような効果があるのでしょうか?お子さんの歯にフッ素を使う際、なんとなくでも知識として頭に入れておくと安心できるかと思います。この記事ではフッ素(フッ化物)は虫歯予防にどのような効果があるのか、安全に使用する方法、また実際に歯科医院や自宅でフッ素を使う方法やその違いについてもくわしく解説していきます。
[簡単に自己紹介]このブログを書いている「ふみ」です。歯科衛生士歴は10年程になり、現在も子育てをしながら小児歯科にパート勤務しています。子供の歯について悩むママやパパの為、歯科衛生士として働いてきた経験から得た知識をこのブログを通して発信していきます。
フッ素(フッ化物)とは?虫歯予防の効果について
フッ素(フッ化物)とは何なのか、虫歯予防にはどのような効果があるのかについて解説していきます。
フッ素(フッ化物)は自然界や私達の身近なものにほとんど含まれている元素
フッ素は化学的に合成されたものではなく、自然界に広く分布している元素です。土壌中に280ppm、海水中に1.3ppm含まれています。地球上のすべての動・植物にも、毎日飲む水や食べる海産物・肉・野菜・果物・お茶などほとんどの食品に微量ながら含まれています。私たちの身体(歯や骨、血液中や軟組織)にも存在しています。
フッ素元素の陰イオン(F-)の状態にあるものをフッ化物イオンまたはフッ化物といいます。厳密には、フッ化物イオンが含まれる化合物をフッ化物と呼びます。むし歯予防に用いられるフッ化ナトリウムもフッ化物で、水の中で薄い濃度で溶解している状態ではフッ化物イオンとして存在しています。
フッ素は作られたものではなく、自然界のほとんどのものに含まれている元素なんだね
虫歯予防に使われるのは厳密にはフッ素ではなくフッ化物イオン(フッ化物)だよ
フッ素(フッ化物)の虫歯予防の効果
フッ素の虫歯予防の効果には3つの作用があります
- 虫歯菌の働きを弱める
- 虫歯になりそうな歯(初期虫歯)を再生させる
- 歯の質を強くして虫歯になりにくい歯にする
虫歯菌の働きを弱める
フッ素はお口の中に残った汚れ(プラーク)から作られる虫歯の原因となる菌の働きを弱め、菌が作り出す酸の発生をおさえる作用があります。
この虫歯菌が作り出す酸により歯が溶かされて虫歯になってしまうよ
虫歯になりそうな歯(初期虫歯)を再生させる
フッ素は、虫歯になりはじめの溶け出した歯(初期虫歯)を再生させる作用があります。
溶け出した歯がフッ素の力によって再生することを再石灰化(さいせっかいか)といって、逆に歯が虫歯菌の酸によって溶け出すことは灰脱(だっかい)というよ
歯の質を強くして虫歯になりにくい歯にする
フッ素には歯の表面を作っているエナメル質を強化させて虫歯になりにくい歯をつくる作用があります。
乳歯(特に生えはじめの乳歯)は永久歯に比べて歯の質が弱くて虫歯になりやすいから、子供の歯が生えはじめた頃から積極的にフッ素を塗ることは虫歯予防に効果的なんだよ
子供の虫歯予防にフッ素が推奨される理由は、乳歯は歯の質が弱いからだったんだね!
フッ素(フッ化物)は適量を使えば安全性は問題ない
Q12.フッ化物を摂り過ぎた場合どんな害がありますか。
A12.
どんなに安全と思われている物質でも量が過ぎれば害を生じます。フッ化物も同様で、適量では身体の栄養、むし歯予防に役立ちますが、過量に摂取すると害(中毒)を生じます。このフッ化物の有害作用は次の2つに分けられます。
(1)慢性中毒
長年飲料水等により過量のフッ化物を摂取したとき生じるもので斑状歯(歯牙フッ化物症)と骨硬化症の2つがあります。
斑状歯(歯牙フッ化物症)となるのは、適量の2-3倍以上の量のフッ化物を、顎の骨の中で歯がつくられている時期に継続して摂取した場合です。
骨硬化症は、適量の10倍以上のフッ化物を数十年摂取し続けた場合に起こる場合があります。(2)急性中毒
一度に多量のフッ化物を摂取したときに生じるもので、吐き気、嘔吐、腹部不快感などの症状を示します。
フッ化物の急性中毒量は、体重1kgあたりフッ化物の量2mgです。例えば、体重20kgの子供が40mgのフッ化物を摂取することで生じます。
通常むし歯予防に利用するフッ化物(フッ化物洗口、フッ化物塗布、フッ化物入り歯磨剤)では、適量を使用している限り中毒を起こすことはありません。
つまり、フッ化物入の歯磨き粉の場合は毎日普通に使う量であれば飲み込んでも問題はないけれど、歯磨き粉のチューブを一度に全部飲み込んでしまったりすると中毒を起こす可能性があるから気をつけてね
歯磨き粉を保管するときは、子供の手が届かないところに置いて親がしっかり管理することが大切だね
フッ素(フッ化物)の使用方法 歯科医院と自宅で塗る違いはフッ化物の濃度
虫歯予防のためにフッ素を使用するには、以下の方法があります。
- 歯科医院で、濃度が高めのフッ素を定期的に塗る
- 自宅で、濃度が低めのフッ素入り製品を毎日の歯磨きの際に取り入れる
歯科医院でのフッ素(フッ化物)塗布について
歯科医院のフッ素は9000ppmと高い濃度のものが使われています。3ヶ月に一度から半年に一度の定期検診などの際に、継続的にフッ素を歯に塗る事によって歯が強化され、虫歯予防の効果が期待されます。
フッ素塗布を行う手順、注意点
- まずお口の中を機械で綺麗にクリーニングします(クリーニングが出来ない場合は歯磨きをする)
- 汚れがしっかりと取れた綺麗な歯の状態で歯科医師、または歯科衛生士がフッ素を塗っていきます
- フッ素を塗ったあとはお水でゆすがずにそのまま飲み込むか、口の中に残った唾をペッと吐き出しましょう
- フッ素を塗ったあと、30分はできるだけうがいはせず、飲食は控えてください。(フッ素を歯にしっかりと浸透させるため)
フッ素を塗ったあとはしばらくお水など飲んだり出来ないから、喉が乾いている時にはフッ素を塗る前に必ず水分補給しておこうね!
フッ素の味は?
歯科医院で塗られるフッ素は大体が「フルオール・ゼリー歯科用2%」というジェルで、味はリンゴのような甘酸っぱい味です。この味が苦手なお子さんのために、最近ではさまざまな味のフッ素を用意している歯科医院もあるようです。
私の働いている小児歯科では、ほかにもぶどうとオレンジとイチゴ味があって子供が好きな味を選ぶことが出来るんだ。ちなみにジェルじゃなくて泡のようなクリームタイプのものもあったりするよ!
リンゴの味が苦手な子もいるから、歯医者さんを予約をする際には、どんな味があるか電話などで事前に聞いてみるのも良いかもしれないね
自宅でのフッ素(フッ化物)塗布について
自宅でフッ素を使用するのにはいくつか方法があります。
- フッ素入り歯磨き粉
- フッ素入りジェル
- フッ素入りスプレー
- フッ素入り洗口液
自宅でも使えるフッ素は100ppm〜1000PPmと濃度が低めなので、毎日使用していくことで虫歯予防の効果が期待できます。
▼仕上げ磨きの正しい磨き方はこちら
フッ素入り歯磨き粉
フッ素入りの歯磨き粉は大人が使う歯磨き粉と同じく、歯磨き粉を歯ブラシにつけて歯を磨きます。フッ素入りの歯磨き粉はフッ素が配合されているため虫歯予防の効果が期待されますが、あまり付けすぎてしまうとブクブクと泡立って、しっかりと磨けない事があります。ですので少量つけるようにするか、何も付けない状態でしっかりと磨いたあと、最後に付けて磨くことをおすすめします。また、歯磨き粉は基本飲み込むものではないため、お口をゆすぐことが出来ない小さなお子様にはまだ使用しないようにしましょう。
フッ素入りジェル
フッ素入りのジェルは、歯磨き粉とは違ってそのまま飲み込んでも良いのが特徴です。歯磨きをしてお口の中をきれいな状態にしたあと、歯ブラシなどに適量を付けて、歯にすりこむように塗ってあげましょう。またフッ素を歯に浸透させるため、塗ったあとはお口をゆすがないほうが効果的です。こちらは、お口をゆすげないお子様にも使うことができます。
フッ素入りスプレー
フッ素入りのスプレーは、まず通常通りしっかりと歯を磨いてお口の中を綺麗にしたあと、歯ブラシに吹きかけて再び歯を磨くようにして歯全体にいきわたらせます。ジェルと同じく、使ったあとはしばらくお口をゆすがないほうがより効果的です。100ppmと低濃度なので歯の生えはじめた赤ちゃんから安心して使うことができる製品です。
▼フッ素スプレー「レノビーゴ」について詳しく知りたい方はこちらをチェック!
フッ素入り洗口液
フッ素入りの洗口液は、4〜5歳頃ぶくぶくうがいが出来るようになってから使用できます。フッ素は250〜900ppmと濃度を自分で調整して洗口液を作ることが出来るものもあり、濃度が低いものは毎日、高いものは週に1回など使い方も選択することができます。こちらも歯磨きをしっかり行ってお口の中をきれいな状態にしてから使います。洗口液は濃度の調整や作り方、使用方法などを、歯科医院で歯科医師や歯科衛生士の指導のもとに使用しましょう。
フッ素(フッ化物)の濃度について
ご自宅で毎日フッ素入の製品を使用する際には、お子様の年齢に合わせた濃度のものを選びましょう。
5ヶ月(歯が生えはじめた時期)〜5歳:500ppm
6歳以上:1000ppm
フッ素(フッ化物)の使用は歯科医院と自宅、併用して行うのが最も効果的
歯科医院でも自宅でも、同じくフッ素を塗るならどっちかで塗れば良いんじゃないの?
もちろん、どちらかで塗っていれば虫歯予防の効果があるけど、歯科医院で高濃度のフッ素を定期的に塗るのと、毎日自宅で低濃度のフッ素を塗るのを併用して行うことが最も虫歯予防の効果が出ると言われているよ
まとめ
フッ素の虫歯予防効果
- 虫歯菌の働きをおさえる
- 虫歯になりそうな歯(初期虫歯)を再生させる
- 歯の質を強くして虫歯になりにくい歯にする
フッ素の安全性
フッ素は適量を使用していれば虫歯予防の効果があるが、過剰に摂取すると中毒を起こすことがある
フッ素の使用
- フッ素の使用方法は、歯科医院で高濃度のフッ素を3ヶ月に一度〜半年に一度と定期的に塗る方法と、自宅で低濃度のフッ素入り製品を毎日使用する方法がある
- 自宅用のフッ素入り製品にはフッ素入りの歯磨き粉、ジェル、スプレー、洗口液などの種類がある
- フッ素の使用は歯科医院と自宅、両方を併用して行うと最も虫歯予防に効果的
いかがでしたでしょうか、歯にフッ素を塗ることは歯科医院や自宅で簡単に虫歯予防ができるのでおすすめです。特に乳歯は歯の質が弱く、仕上げ磨きもなかなか大変なので一生懸命磨いていたとしても磨き残しが出て虫歯になってしまうことがあります。なるべくお子さんが小さな頃から、フッ素を積極的に取り入れて虫歯に負けない強い歯を作っていきましょう。最後まで読んでいただきありがとうございました。